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訓練所での【自主講座】の実施と学び<コミュニティで活動するときにどう自分は人と接するか?>

 

「コミュニティで活動するときにどう自分は人と接するか?」

この視点を入れた自主講座を行ったので、今回はそちらの振り返りと共有です!

訓練生活で必ずやる!と目標設定をしていた自主講座。訓練が終わる4日前に終了しました、、笑

自分の計画性のなさにわらけてきますが、参加者とも話したり一緒に考えることができてめちゃめちゃ面白かったです。

 

「自主講座」とは?

 

訓練期間中、様々な講座が用意されています。

一方で、自主講座というのを行う権利が訓練生にはあり、申請してスタッフから承認されると掲示して参加者を募って自主講座を行うことができます。

基本的には自分が講師となって行います。内容も参加する訓練生の成長につながる、訓練生が気付きを得る内容ならいいという感じです。

時間も課業後の時間や課業前の時間、自由に使うことができます。

やるかやらないかは自分次第。私たちの隊次は比較的自主講座が多かったようで、私も様々な自主講座に参加させてもらいました!

みんなめっちゃすごい!だっていろんなこと知っているしそれを講座にして教えてくれるんだもの!!

私は自主講座をやりましたが、「何かを教える」とか「何かを教わる」というよりは「一緒に考えよう!意見交換をしよう!」という視点に重きを置いたものでした。そのため、知識とかたくさんあるわけではないし、他の自主講座を行っていた訓練生をとても尊敬してました。

 

私の自主講座の内容

 

そんな私の自主講座の内容を簡単に紹介しますね。

これは自主講座の内容の流れです。

  1. 自分と仲間の要請を知る(参加者内での要請の他己紹介)
  2. 参加型開発の紹介(こんな視点での開発もあるよ~っていう紹介のみです)
  3. ワークショップ(参加型で何かを行う時、だれにどこまで参加をしてほしいのか。参加をしてもらうためには自分はどのようにふるまい、どのような態度をとればいいのか)
  4. 振り返り

ざっくりこんな感じです。

私はコミュニティ開発隊員なので村人と一緒のコミュニティに入り込んだ活動が予測されます。そんな活動において、「住民の参加」というのはなかなか避けられず、むしろどれだけ「参加」してもらうか、が重要になります。

でも参加してもらうといっても誰に参加してもらうのかは重要ですし、物理的に参加するのと会議やワークショップで意見を述べてもらうのとは大きな違いがあります。

誰かに何かに参加してもらう時、自分の行動や態度が見られていてそれが活動に影響するとしたら、それについて少し意識する必要があると感じます。そのため、それを考えるワークショップを実施しました。

 

実施までの流れ〈11のステップ〉

 

①どんな内容にするかをざっくり考える

おおまかな内容ですね。

私はコミュニティ開発の村落開発研修として栃木県にあるアジア学院に2週間行っていました。そこで行ったワークショップが自分にとってはとても印象的で、行ったことのないコミュニティに外部者として入っていくときにどのように見られるのか、気にしたほうがいいことはあるのか、どう活動を行っていこうかなど考えるきっかけになりました。

本当に学びの多いワークショップをやっていただいて私も実際に自主講座で他の候補生と一緒に学びを深めたいと、その内容を選びました。

ちなみにアジア学院について簡単に紹介しますね(また時間あるときに紹介のブログを書きたい!それくらい密度濃く過ごした2週間だった。。)

アジア学院の紹介

学校法人アジア学院は世界中から農村指導者を集め研修プログラムを行っています。

HPはこちらです!

有畜複合の有機農業を実践しながら研修を行っていて、米、小麦、大豆、肉類、卵、60種類に及ぶ野菜類など、食べるものの90%以上を自給しています。

日本にあるのに日本じゃない感覚になるアジア学院での研修は一言で良い経験だったというには足りなすぎるくらい濃くて学びが多くて今思い出しただけでも泣きそうになるくらい。

私が今回行った自主講座のワークショップはアジア学院の先生が作ったものを参考に行わせていただきました。

 

②目的を考える

参加者にどういう気付きを得てもらいたいか、どこに落としどころをもってくるか

 

③対象者を考える

実際に需要があるのか?どういった方を対象者にすれば自主講座の目的が達成できるのか

 

④内容を落とし込む

行おうとしている自主講座の流れや時間配分、場所。タイミングと情報の整理。

 

⑤参加しそうな人に聞き取りを行う

実際に対象者になりそうなひとにそれとなく「〇〇について知ってる~興味ある?」などと聞き取りを行う。そうすると意外に知らないことがわかったり逆に知っていることがわかったり、意外なところに対象者がいたり、自主講座の需要がある程度定まる。

 

⑥自主講座に必要な資料や材料を準備する

時間配分やタイミングを決めたのち、実行可能かを資料や材料を作ったうえでシミュレーションする。間に合わない場合や配分が合わなかったり理解しずらい部分は修正する。

 

⑦自主講座計画書をつくって提出する

70%くらい定まってきたところで自主講座計画書を作成して提出。(私の場合計画書を出すのが遅くて実施日に影響したので固まっていなくてもおおよその方向性が取れていれば計画書出したほうがいいかもです。実施の1週間前に提出が求められます)

 

⑧自主講座の案内を掲示板に貼って参加者を募る

自主講座用の掲示板があるのでそこに案内を貼り付けます。そこに名前などを書いてもらって参加者を募る仕組み。

実はワークショップの形態的に6名くらいの参加者を予定していたのですが、うれしいことに余白にも名前を書いてもらえて結果13名での実施になりました。

急遽ワークショップの材料を2つ用意して2グループに分けるなどの対応をとりました。来てくれれば来てくれるほど緊張はしますが、みんなに来てもらえたことはとてもうれしかったです。

 

⑨自主講座を実施する

そして実施です!内容は下記の「実施してみた!」を参照。

 

⑩自主講座報告書を提出する

終了したら自主講座報告書を提出します。これは形式的なものです。

 

⑪(振り返りと備忘録のためのブログを書く)←この記事のことです笑

このブログを書き終えて私の自主講座がようやく締まります。笑

(訓練が終わった2か月後に書き終えました!笑)

 

実施してみた!

 

実施日時:3月14日17:15~18:15(約1時間)

実施場所:小講堂(広めなのと机や椅子が並べやすいのとホワイトボードがあるのが決め手)

参加者の職種の内訳:コミュニティ開発、看護師、青少年活動、環境教育、観光の計13名

つくったチラシはこんな感じ☟

①自分と仲間の要請を知る(参加者内での要請の他己紹介)

 

これはA3の紙を半分に折ってその半分を使って自分の活動をペアに紹介して書いてもらうというものです。

「名前・職種・任国」「どこで」「だれと」「だれのために」「なんのために」「何を」するのか。

簡単に書いてもらって自分のペアのやつを紹介してもらいました。

訓練も終盤なのでみんなお互いを知っていたしとっても仲良しだったのですが要請などについての話はそんなにはしていないですよね。

ということで職種の違う人とペアになってもらってお互いの要請を知ってもらうのもいいかなと思ってペアもちょっとだけ工夫しました。

 

一応これの目的は、

ワークショップのバランスをとるためにそれぞれの要請の内容を私が知りたかったのと、

実際にワークショップをやる際に参加者がお互いの要請をちょっとは知っていたほうがいいなと思ったのと、

アイスブレーキングではないですが、ペアになって仲良く何かを作ってもらって他己紹介みたいにしたらちょっとは和んだ雰囲気出るかなと思って行いました。

 

みんなカラフルに、きれいに相手の要請を書いてくれて楽しんで話してる様子をみていてこっちがとても楽しかった!!この時間、思ったより尺をとっちゃってちょい急いでもらいましたが、正直ずっとみていたかった~わくわくしましたね~!

 

②参加型開発の紹介(こんな視点での開発もあるよ~っていう紹介のみです)

 

私は開発のプロではないですし、参加型開発の本を読みこんだわけでありません。

そのため自主講座でペラペラと参加型開発のことを語るほどの知識も経験ももちあわせてはいないのです。

ただ今回の自主講座を行うにあたって参加型開発の紹介をしていたほうが良く、せっかく参加してもらう参加者にはそういう活動手法、調査手法について改めて触れておくのもいいかなと思って僭越ながら紹介をしました。

キーワードは「参加型開発とは?」「参加型開発が生まれてきた背景」「”参加”とは?」などです。

それらを紹介したうえで、みんなの活動先ではどんな人に参加をしてもらいたいのかあげていってもらいました。

たとえば、村長、女性、こども、障がい者、若者、農家、商人、、、など。

そのうえで、それではどうしたらそういう人に参加してもらえるのでしょう?という問題提起をしてワークショップに移ります。

みんなとても真剣に聞いてくれました。そしてどんな人を参加させたいかの話でもいろんな人をあげてくれました。意見とかでなかったらどうしよう!と思っていたので積極的に意見や考えを言ってくれるのはとてもうれしいですね。

 

③ワークショップ(参加型で何かを行う時、だれにどこまで参加をしてほしいのか。参加をしてもらうためには自分はどのようにふるまい、どのような態度をとればいいのか)

 

グループを2つに分けて(今度は要請の近い人を同グループに。)ワークショップを実施しました。

このとき要請が近い人を同じグループにしたのは、同じような地域をイメージしてもらったほうがワークショップが進みやすいからです。規模や特徴が大きく違うコミュニティだとワークショップの目的がずれてきてしまう懸念がありました。

そのため、みんなに書いてもらった要請をみながら2つのグループに分けました。

ワークショップの内容は以下の通りです。

村や地域のコミュニティに存在する3つの「P」。

これは権力(POWER)、名声(PRESTIGE)、財産(PROPERTY)のことです。

これが書かれた札をを三角形になるよう並べ、そこにコミュニティに存在する立場をそれぞれ並べていってもらい、そこにある意思決定に関わる力関係と協力隊であるはどのように関わっていくといいのかを考えるワークショップ。

今回用意したのは以下の役。

  • 村長
  • 政治家
  • 教師
  • 宗教的リーダー(聖職者やシスター、僧侶)
  • 警察
  • 国際機関職員
  • 外国資本の企業
  • NGOワーカー
  • 先住民と少数民族
  • 富農(地主)
  • 若者
  • こども
  • 年寄り
  • 障がい者
  • 小規模商人
  • 公務員
  • 霊媒師
  • 村長婦人
  • 医者
  • 貧農
  • 未亡人、孤児
  • JOCV

これらを3つのPの三角形にどのように当てはまるか、権力、財産、名声を誰が持っていて誰がもっていないのか。並べてもらいました。

そのうえで意思決定のパワーがどこに働いてくるのかと、実際にコミュニティの意思決定に際し意見を言って参加してもらいたいのは誰なのかを尋ねます。

そしてそのうえでJOCVはどういう人とどのように関わっていくといいのか。誰の意見を聞きたく誰の意思決定を仰ぎたいならそれぞれでどこにアプローチをかけるといいのか。

参加したメンバーに問いかけ、考えてもらいました。

協力隊は泣いても笑っても2年間で去ります。ずっとそのコミュニティにいる人間でないからこそできることもある。協力隊はずっとはそこに存在できないけれども2年間で成果を求められる。専門家ほどは専門的な知識を持っていないという、一見不安定な立場でもありますが

その分様々な立場の人に耳を傾け、権力構造に大きく巻き込まれることを避けて活動ができます。それは協力隊の強みです。

その強みを生かして、現地でどのように活動をしたいのか、誰にどう見られたいのか。それを考える機会を作りたくてこのワークショップを取り入れました。

 

④振り返り

 

振り返りについてはアンケートなどではなく、①の自分の要請について書いてもらった紙にこの自主講座の感想だったり、現地でどうしたいかだったり、私への愛のメッセージだったり(笑)などと、その瞬間に感じたことを自由に書いてもらいました。

自主講座の振り返りと感想

 

とても楽しい1時間。

多くの人の前で話すのが苦手なので、最初は6人の募集をしましたが、募集の紙の枠外にみんな名前を書いてくれて、結果13人参加する形になりました。

想定外だったのでワークショップのための素材を2グループ分用意してやってみました。

最初から最後までみんな楽しんでやってくれて、感想もお世辞とかじゃなくて本当によかった、考えるきっかけになった。と言ってくれる参加者もいました。

訓練の最終テストが終わってもう訓練修了も間近になって、こういう考えるタイミングを作れてよかったなと思います。

何よりも私にとって一番楽しくて考えさせられてみんなの反応をみれたとってもいい経験になりました。

参加者には参加してもらったこと本当に感謝しているし、もし一ミリでも参考になったならいいなと思います。

彼らが書いてくれた①の要請についてと④の振り返りの感想は、私にとっての思い出です。紙ぴれだけど今でも家に置いてあります。(写真をとったので任地ではたまに見返しています。)

アルバム作成もあって最終テストもあって、修了に向けての仲間との懇談の時間も取りたくて、本当に本当にバタバタした数日間だったけど、やって本当に良かった。

自主講座はやって損はないと思います。

かけがえのない訓練期間です。私なんか、と思わず迷っているならぜひ企画して参加者と楽しい時間を過ごしてくださいね。