活動の記録

「幸せになるための条件」ワークショップを実施してみた≪ペルーでコミュニティ開発≫

ペルーで国際ボランティア、コミュニティ開発の活動をするいくみです。

今回は農家や女性の手工芸品グループ向けにワークショップを開催しました。第一回目。

ということでそのご紹介をします!

ワークショップの内容と目的

幸せツリーとも呼ばれるこのワークショップ。個人的には現地の様子を見ていて、また内容的にも「幸せになるための条件」ワークショップと名付けたほうがしっくり来たのでそういうネーミングでご紹介します。

●内容

地域の住民を対象に幸せを感じる瞬間をあげてもらい、それをかなえるために何が必要となるのかを掘り下げていくワークショップ。掘り下げるときに頭を使ったり実際に自分にとっての幸せとは何か、またそれをかなえるには何が必要なのかを考えるきっかけになる。

●目的

  • 参加者の主体性をうながす
  • 参加者が自分にとっての幸せに対して気付きを得る
  • 頭を使って考えるくせをつける
  • 参加者同士でグループワークをすることで相手の考え方に触れる
  • ファシリテーターは参加者の考え方や価値観を知ることができる
  • 長期的に主体性を持ってもらうための一つの手段となる

対象者・準備・使用する道具など

対象者は地域の住民(農家や女性グループ、主婦など)。ワークの内容的に多くても30人までが好ましい。やってみて感じる最適な人数は15~20名。

準備は、人数があつまるよう声を掛けたり、簡単な内容を説明できるようにしておき、次に述べる道具を準備しておくこと。

準備する道具

  • 模造紙5枚~6枚(分けるグループの数による)
  • ペン(できたら人数分)
  • 文が書きこめるくらいの大きめの付箋(200枚以上あると安心)
  • 名札用のテープ
  • 名札用のテープに書く油性のマジック
  • 参加者名簿
  • 机(3~4つ)
  • 椅子(人数分)

ワークショップの流れ

①ワークショップについて簡単に説明する。

このワークショップをやるのは住民の主体性を促したり自信を付けてもらうのが最終的な目的になっているが、それを具体的に述べる必要は私はないと思うので(むしろ言わないほうがいいと思うので)、「どんな時に幸せに感じてそのためにはどんなことをする必要があるのかを考えてみるきっかけを作るワークショップです。」くらいの紹介でいいかなと思います。

②どんな時に幸せを感じるか、付箋に書いてもらう(一人最大3つまでの方が良い)

③その付箋を前に来て、模造紙に貼ってもらう

この時内容によって分けて貼れるといいが、参加者にやってもらうのが難しい場合はファシリテーターが分類を手伝う。たとえば「仕事」「家族」「趣味」「宗教」のような形で関連するテーマごとに分類できるとわかりやすい。

④誰かにその付箋の内容を読み上げてもらい、みんなに共有する

⑤グループ分けをする(1つのグループが5人から8人くらいだとやりやすいかも)

近くにいる人で集めると仲良しグループになってしまうので、できたら「1,2,3,1,2,3、1,2,3、・・・」と振っていって該当するグループの番号で集まってもらった方がいいと思います。

⑥今からグループでどんなことをするかデモンストレーションをする

前にある付箋の中から1枚とり、別の新しい模造紙に貼ってワークを説明する。たとえば「家族と電話する」がグループで選んだ幸せの基準とする。

そのあとその幸せの基準を満たすために何が必要なのか、住民に問いかける。「電話をもっている」「家族がいること」などと意見を出してもらって新しい付箋に項目ごとに書きそれを「家族と電話する」の下にならべる。次に「電話を持っている」にはどんなことが必要かを聞いて「電話を買うお金がある」などと意見を出してもらい下にかく。

1つの列につき、意見が出てこなくなるまで掘り下げ、終わったら次の列「家族がいること」などに進むよう説明をする。このときに上下の関係が相関関係になっているように注意して進めるよう伝える。イメージはこんな感じ↓。

⑦グループワークを進めてもらう

まずはグループでひとつ幸せの基準を前にある模造紙の付箋たちの中から選んでもらい、一番上に張り付ける。その次にその基準を達成するために何が必要かを話し合って進めてもらう。

⑧ファシリテーターは理解できていないグループに説明を加えたり様子をみる

状況によっては相関関係がとれているのかたまに質問する。「ここはこうじゃないですか?」という質問にならないよう注意。あくまで参加者が気付きを得たり、グループワークを促すのに徹し、ファシリテーターは自分の意見などは言わないよう注意する。

⑨各グループの発表

グループワークが終わったらそれぞれのグループの代表者に完成した必要条件を読み上げてもらう。このときに相関関係を意識してもらいながら発表してもらう。読み上げた後の拍手は忘れずに。

⑩ファシリテーターは各グループの相違点や共通点を指摘したり簡単にコメントをする

⑪感想を述べてもらう

大変だったところ、興味深かったところ、グループワークをやってどのように感じたかを何人かに尋ねる。その感想に対して誰かが意見を言ったりしたらそれも耳を傾ける。

⑫感謝と拍手と次回の話

参加してくれてのお礼とみんなへの拍手。次回の内容が決まっていたらどんなことをやるのかと、次回以降も来てもらえるよう促す。挨拶して解散。

 

実際にやってみた感想

実際に行ったワークショップの概要

参加者:21名(男性11名、女性10名くらい)

場所:とある集落のとある人の家の前のスペース

使った道具:

  • 模造紙4枚(うち3枚は再利用可能)
  • ペン(10つくらい)
  • 文が書きこめるくらいの大きめの付箋(100~200枚)
  • 名札用のテープ
  • 名札用のテープに書く油性のマジック
  • 参加者名簿
  • 机1つ(もっとお願いしたが当日準備できたのは1つ)
  • 椅子(ほぼ人数分。数人は立って参加)

時間:ワーク自体は60分くらいで終了(もう少し掘り下げられるがみんな早めに終えていた)

 

●意外にみんな聞いてくれる

日本から来た小娘の言うことなんてそんなに聞いてくれないかと思ったが、ワーク前に行ったプレゼンをはじめワーク中もみんな私の声に耳を傾けてくれた。携帯をいじったり途中退出者も多いかと思ったがそういう人もほとんどいなく、集中してくれていた。

 

●意外にみんなはずかしがりや

恥ずかしがり屋なところは前から知っていたが、それ以上に恥ずかしがり屋だった。グループの中で意見を言ったりまとめる人がいるグループは進んでいた。

 

●配置やスペースの使い方に工夫がいる

みんなが意見をだしたり参加しやすいように椅子の配置やスペースの使い方を工夫すると良かった。自分から椅子を動かしてグループワークしやすいように動く人は今の段階ではいないので(それをしないからこのワークなどを進めているようなものなので)最初は開催者が気を付ける必要がある。

 

●机といす不足はすこし致命傷

離れた集落に訪問してワークショップを行うため自分から机を運ぶことができなく、そこは集落の人にお願いする形になる。今回もとある組織長が声をかけて参加者を集めてくれ、机と椅子の準備もその方にお願いしたが当日足りなかった。机があったほうがワークが進むのでできたら準備できる方がいいだろう。

 

●思っていた以上に成果が出た

第一回目ということでワークが理解されなかったり気付きまで得られないかなと思っていたが思ったより反応が良かったのに驚きと喜びがあった。参加していた人からモチベーションが上がった、(未来を担う)子供も巻き込みたい、今後もワークショップをやってくれなどとコメントをもらえたのがよかった。またそれを見ていた同僚がとても気付きを得ていたのと私の活動に対して理解を深めてくれた。

 

●言葉の表現力が弱い

参加者に対しての言葉遣いなどは注意したいところだが、もちろん日本語でワークショップをするわけではないのでその言語の問題がある。これはもっと表現力を付けて誤解のないよう、もっと参加者に理解してもらえるように努力する必要があると感じた。

 

毎日更新しているnoteではこのワークショップを終えた後の所感を書いたのでよかったらそちらもご覧ください。⇨note: はじめての農家対象ワークショップ

ちなみにこちらは今回のワークの資料です↓

やることが目的ではなく、そのワークショップを通して参加者がどんな気付きを得てくれるか、それに着目して今後も活動を進めていこうと思います。

ご一読ありがとうございました!