「ふくしまの農家を訪ねる旅」。
二本松農園の齋藤登さんが企画・運営している1泊2日のツアーです。
今回はこのツアーに参加し、感じたことを含めて紹介します!
ツアーの概要
参加日時:2018年8月の22日、23日。
企画・運営は福島県の二本松市にある二本松農園が行っています。
1泊2日の福島の旅。東京駅から出発です。
参加費は一人5,000円。
内容は、
福島県の農家を訪れて、農家の皆さんのお話を聞いたり、そこでとれた野菜などを食べたり。
そして夜は数人に分かれて農家民宿に泊まります。
二本松農園のスタディーファームもスケジュールに盛り込まれていて、桃狩りをしてお土産を買って、東京へ。
私も2018年の8月に参加してきたので詳細を知りたい方は下も読んでみてください。
その前に、まず知っていてほしいこと。
ツアーの参加費について
参加費はひとり5,000円。
東京駅から往復バスがあり農家さんそれぞれを周り、桃狩りをしたり農家に泊まったり。もちろんすべて一人5,000円では賄いきれません。
運営費の多くは、福島県の助成金から賄われています。
いつか、この素晴らしいツアーに参加したい人がたくさんになって、全額負担でもみんな参加したいようになれば、助成金をツアーでなく二本松農園の運営や二本松農園の皆さんの生活に使えるのかな、とそんな風に思いました。
そのためにも、参加した自分は福島の良さを、福島県の農家さんの現状や思いを、知ってもらうような活動をしていきたいと考えています。
これを読んだあなたが、福島の農家さんに興味をもっていただけたら、私は何よりもうれしいです。もし、福島に行ってみようかな、農家民宿に泊まってみようかな、福島の作物に興味が出てきたなと思っていただけたら、この上ない喜びです。
スケジュール
朝7時、東京駅に集合
朝7時に東京駅に集合し、ツアーコーディネーターの齋藤さんに名前を伝えて、全員揃ったらバスに乗ります。
福島県までは約4時間。途中休憩を2回ほどとって福島県に到着です。
福島第一原発から6キロの地点
最初に行く農園までの道、齋藤さんは放射線量測定器を手に福島県の現状を話してくれました。
そして東京から福島県までそのどこにどのくらい放射線量があるのか、たびたび教えてくれました。
その道、ホットスポットと言われる放射線量が高いところは急に数値が大きくなるのですが、基本的に0.1マイクロシーベルトから0.3マイクロシーベルト。
東京を出発した時も0.1~0.2でしたが、その数値は福島県に行っても変わりませんでした。
そして福島原発から6キロと、今回のツアーで一番原発に近づいたスポットでその数値はあまり変わりませんでした。
ホットスポットと言われる場所、そして今でも避難指示が解除されていないエリアを除いて、放射線の量は東京都ほぼ変わらない、むしろ下回る場所もありました。
ホットスポットと言われる場所での数値は0.4マイクロシーベルト。
他のエリアに比べると高いのですが、私はもっとぐーんと上がると思っていて、実際東京とさほど変わらないんだなあと正直感じました。
そして福島県に入ってから福島原発に近づくと、そこはゴーストタウン。
家や畑、田んぼが並んでいるけれど、人が住んでいない場所も通りました。
人がいる!と思ってもそれは除染作業員。
バスの中から除染土が積まれているのが見えました。
その光景は緑豊かな福島県の背景には似合わず、ただ黒いビニールを被った土が、大量に積まれていました。
農作業をして取れたての野菜を食べる。取れたてのお米を炊く。明日も学校に行って保育園に行って、お友達と話したり、家族で団らんをする。
そんな日常が、かつてそこにはあったはずなのに。そんなさみしさを感じて目に見えない放射能が2011年の3月に飛んできたこの場所に、何とも言えない感情を持ちました。
すでに避難解除になったエリアにも田んぼは使われていませんでした。
福島のお米は、一番風評被害にあった作物。たくさんのお米農家が、福島でお米をやるという選択を取りませんでした。そして今でも福島のお米が市場に並べられているところは少ないそうです。
そんなお話を聞きながら、バスは走りました。
片倉夢ファームで農家さんからお話を聞く
福島県についてまず片倉夢ファームを訪問しました。
福島原発の事故があり、一度避難した方々がまた戻ってきて、一緒になって農園をやっています。
私たちに取れた野菜を使ったおいしい料理を作ってくれました。
それを試食させてもらいながら、但野さんのお話を聞きます。
原発があったときの農家の話
避難指示解除になっても7年経っているのでみんな戻ってこない話
放射線の正しい情報が少ないので「福島県産=危険」という考えが消費者がほとんどな話
出荷するすべての作物に放射線検査をしてきた話
風評被害の話
東京で暮らしていてはわからなかったお話が、そこにはありました。
但野さんのお話を聞いていて、もっと放射線の勉強をしようと思いました。
正しい知識を身に着けて、大丈夫なものは大丈夫、大丈夫じゃないものは大丈夫じゃないとマスコミが言うのを信じるのではなく、自分で判断できる目を持たないとと思いました。
それが、唯一の被爆国であり、福島原発事故のあった日本で暮らす自分のひとつの使命のような気がします。
風評被害と戦う、様々な逆境の中で土を信じて作物を守る。
福島で新たな生活を始めた農家さんの暮らしが、そこにはありました。
道の駅で昼食。納豆とうどん
道の駅で昼食を取ります。
納豆とうどん。
この納豆は次に訪れる納豆工場で作られた納豆なのです。
美味しくいただきました。
それにしても道の駅がとってもきれい。
バス休憩で訪れた道の駅もとってもきれい。
どうやら、復興のため新しい道の駅がたくさん建ったとのこと。
7年経つのに避難先から戻ってきた人が20パーセントしかいない地区もあるとのこと。
でも少しずつ変わりつつある福島に、もっと人が来るといいなあと思いました。
納豆工場見学と、かぼちゃまんじゅうと、山川屋の和太鼓
福島でとれた大豆を使った納豆。
納豆を製造する会社の皆さんがとっても親切に工場内を案内してくれました。
24時間購入が可能な、納豆の自動販売機もありました、わお!
そしてそのあとは工場の上のお部屋をお借りしてカボチャまんじゅうを商品化している石井絹江さんからお話をお聞きしました。
かぼちゃまんじゅう、とってもおいしかったです!
その試食中、和太鼓演奏者の遠藤元気さんが、和太鼓を披露してくれました。
とっても迫力があって、素敵な演奏でした。
そのあとバスの中では各自どの民宿に泊まるか発表!
農家民宿は何十人も泊まれるわけではもちろんありません。
数人でまとまって農家さんとご対面。
各自農家民宿に泊まりました。
農家民宿「遊雲の里」でのファームステイ
農家民宿「遊雲の里」、17時に到着。
荷物を置いて下の畑に野菜を取りに行きました。
なすやきゅうり、パプリカやとまと。ほかのツアー参加者と一緒に楽しく収穫をしました。
民宿のお父さんがホタルの里まで連れて行ってくれました。
ホタルの時期になると、たくさんのホタルが来ます。
周辺をお散歩して帰宅。
順番に先にお風呂に入って、19時から夕食。
農家のお父さんやお母さん、別で民宿に泊まっているお客さんやほかの参加者との懇親を楽しみました。
早めに寝て次の日は朝少し散歩。そして7時に朝食。
遊雲の里のごはん、本当においしかったです!
お父さんお母さんとさよならをして8時半に前日解散した道の駅で集合となりました。
二本松農園でのスタディーファーム
次の日は二本松農園へ。
二本松農園は名前の通り二本松市に位置しています。
福島原発から約50キロ地点。
放射能の被害を、二本松市も受けました。
そんななか、二本松農園は放射線や放射能への理解を深め、どうしたら作物が土から放射線を吸収しないのか、セシウムを吸収しないのかを研究。
すべての野菜からセシウムを吸収させないよう努力をされてきました。
現在はその取り組みを整理して放射線への理解を深めてもらうべく、スタディーファームをしています。
福島に訪れたなら二本松農園のスタディーファームもぜひ!
震災以降、福島の農家さんがどのような状況を強いられたのか、どのように風評被害と戦ってきたのか、そして現在はどうなのか。こちらの質問にも答えてくださいます。
ネットで調べるより現地の声を聴くのが正確で速いので、福島に訪れたときはそういう機会を利用することをお勧めします!
菱沼農園で桃狩り
そのあとは桃やリンゴ、さくらんぼなどを生産している菱沼農園に行き桃狩りをしました。
とってもおいしかった!いくらでも食べられそう!
菱沼農園の直売所でも桃を買うことができたので家族へのお土産にももをたくさん買いました。
福島の桃、とってもおいしかったです^^
お昼は福島駅の「きいちご」
最後のお昼は福島駅近くの12階建てビルの最上階にある「きいちご」というレストランで。
とっても眺めがよく、福島を一望できました。
他のツアー参加者と最後の懇親をして下のお土産ショップで買いものをします。
アンケートを書いて東京駅で解散
今回のツアーは一部助成金を使ったツアーでしたので、アンケートの記入が必須です。
次の企画・運営にも反映されると思い、一生懸命書きました。
そしてバスに乗り込み、東京駅で解散。
素敵なツアーでした。
ツアーに参加してみて
たくさんの農家さんに訪問して、新鮮でおいしい野菜や果物を食べられて本当に幸せなツアーでした。
なによりも、農家さんの生の声が聞けたこと、それがこのツアーの一番の醍醐味だと思います。
来年もあったらぜひ参加したい!全額負担でも参加したい!
いつかこのツアーが助成金なしでも運営されるように、みんながもっと福島に興味をもつように、私にできることをしていきたいと思います。